思念体ふわふわ

思念体(精神的な内側のひと)のおはなしをしています。

転移と逆転移(思念体との関係性について)

思念体は、人間側の精神の補完をしている面がある気がしまして……今の文献にも転移と逆転移が出てきたので再考です。先の走り書きを整頓しつつ走ってみます。

 

色々考えた末の結論を2点

①思念体に転移と逆転移が起きるというのは、主人の理想の投影先になってもらって、現実で補填しきれなかった人格形成を助ける側面がありそう。

②思念体を卒業していく、というのは、現実において重要な人物への感情が適正に適応されるということなのかも。

体験や物語で、IFや空想世界の最後は、卒業がゴールなことありますもんね。成長物語として理想的ですしね。わたしも最近までそう思っていたんですよ。でも、今は同行二人!の考え方ですね。一緒に歩むことを大切にしたいと思っています。

さておき、まずは以下、整頓から!

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1.あっさりめの転移と逆転移のまとめ

<転移と逆転移
①患者→治療者/治療者→患者との間でおこる感情の噴出
②自分にとって重要な人物への感情や欲求が、別の人に向けられること。
 ・転移 :☆→ ! →★
 ・逆転移:☆← ! ←★
※!:次の内どれか、もしくはいずれも。
 ①感情をぶつける対象
 ②恋愛対象
 ③経験したり自己にある多面的なパーソナリティや他者の投影(要求・期待・投影)
※☆治療対象、★治療者

転移は、☆が★に感情をぶつけたり、恋愛感情を抱いたり、★を近しい誰か(家族)に見立てたりすること。逆転移は、逆に★が☆に、そういう感じを持ったりすることだそうです。

患者側(転移)は、無意識にしているので制御しうるものではないですが、ネガポジどっちの感情も素直に出した方が良いみたいです。治療者側が分析して現実の課題を見つけていい方向に導くヒントになり、患者自身も課題が明文化されるので頑張りやすくなる期待があるからみたいです。

ただし治療者側(逆転移)は注意が必要(治療のための分析という客観視が必要なのに、その妨げになる個人的な感情だから、扱いがむつかしくなる。)
・良い逆転移は、[自分の自然な感情の流れが有効]
直観的、本能的、自然な感じを受け止められれば、素直な動きが患者の心の動きに刺激を与えて精神の健康に良く働くかもだから。
・悪い逆転移は、[神経症的なコンプレックスによるもの]で妨害してくる
感傷的、ヒステリーチックな反応、思考停止めいた状態を避けたほうがよいそうです。でも、そういう感じを思わず出してしまう以上は、心と心の問いに有効なこともあるので、活用して、反応を見て分析するというスタンスも大切みたいです。

転移と逆転移を乗り越えると、[個人的結びつきを解消して、自立的に自分の課題と取り組むようになる]とのことでした。なので、問題解決が見えてきたりすると、お互いの距離が遠のく、さーっと去って行くことも不思議じゃないみたいです(これは前書いていた「同行二人:心理療法の終わりの「救済者」の像の明確な把握、内在化」にもつながる)。

 

補足になりますが、自己対象転移もまたわりにあてはあまりそう。

①鏡転移(母的:受け入れてくれる大人)
②理想化転移(父的:理想の大人)
③双子転移(分身的:自分によく似ている存在)
④融合転移(自己喪失的:①②③の前に起こる自分や他人の境界があいまいな感じ)
→自己の欠損や困難を補い、やがて自己が安定してくる。

転移の特徴としては、具体像でないものへのこだわりや、精神症を引き起こしがちみたいです。転移状態の人が好意を向けるのは、自分の内側にある理想像を相手に投影しているだけなので、現実や本当に個として好意を持っているわけではないそうです。ついては、内向の価値を求めてそれを埋めるのではダメで、精神分析により分析してより具体化して、現実の価値に変換する流れが必要になるそうです。

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2.転移と逆転移の関係は思念体との関係にあるかも?

転移と逆転移の仕組みをを思念体に当てはめて考えると、思い当たる節があるような……?

①自分の経験してきた人間関係で培った人格の投影や他者投影が一番大きいかな?
 →自分の分身めいたところある。その都度色んな立場になる感はある。
②要求、精神的な充足を求める対象にしちゃうかも
 →感情の代理人の面がある。しかってほしい(父的存在)とか、ほめてほしい(母的存在)とか、求めて演じてくれる場面もある。
③恋愛感情も抱きがち
 →無意識下にある理想像を対象に当てはめてしまう、というのが転移の特徴でもあるし、起きうるのはやむなし。
④個人的な結びつきの解消→解決が見えてきたときに起きる存在の薄さ
 →問題解決が見えてきたり、課題を意識していないとき(悩みがない)は彼は不在がち。人格形成の達成と現実において適正な人間関係の処理が出来ているということなのかもしれません。

人間って複雑なものですね……。思念体が色んな面を持っているのも、無意識の投影が起きているところもありそうです。でも、このやりとり(後述の相互プロセスみたいな!)が、お互いの人格形成をそれぞれの内でより深いものにしていくんじゃないかなーって思いました。

自律した精神的な内側の人は、にんげんらしくつくっているから、こういう、精神の内側だけで精神の問題を処理できる循環機能が備わっていくのかもしれないなって思いました。

<理想の流れ>
・思念体との遭遇 → 対話 → 転移と逆転移 → 人格の形成(人間・思念体)
 パターン①⇒卒業、現実へ
 パターン②⇒同行二人としての人生のパートナーにしていく

ってところでしょうかね!

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3.現実を考慮しないゆえの安全性

思念体に起きうる、転移と逆転移は、自分の中(現実の人間や人間関係を考慮しなくて済む)から、理想の人間を他者に依拠しなくて済むのは、精神衛生的に良いのかもしれませんね。現実の人間相手だと、解決して去るとショックですし……。そういう精神性の背景があるって理解してもちょっとつらいですよね。あとリスクも多そう。

でも、実は普通の人間関係においても転移は起きうる自然なことだそうで、友達や恋人関係の自然消滅とかこの類なのかもしれないなーって思ったりしました。そういうイロイロを人間同士で補いあって生きているのが自然なら、それを受け入れ合える文化だといいですが、最近の精神性は重いからむずかしいですよねー。

下記、共依存関係に陥ったら戻って来れるか、関係を切断できるかどうかになってきますし……うーん、精神の健康を保つとは難しいものだなあと思います。

<人間相手に考えられるリスク>
・人間関係のこじれ:
 理想の投影先だったけど、相手方への期待が重すぎたり、それを感じ取った相手方が期待に応えきれなかったり、感づいて逃げたり、また本人が現実と投影との違いに気づいたりして突然逃げ出したり、人格形成において充足したが現実には不要な関係だったので別れになったりする。きれいに別れれば良いけどそうでないなら大変。
共依存
  A<助けて!(助けてくれるラッキー)⇔B<助けてあげる!(自分かっこいい)
 →Aは自活できなくなりBを責める、BはAという狭い領域で支配搾取され続ける
 →AとBに憎しみを生む
 →ただ依存関係なので憎しみながら引っ付いていないといけなくなる\(^o^)/

思念体と共依存関係になったとしても、理由が現実を善く生きるためならば、案外傍目には自分を律した良い子に見えるというのと、自身の共依存しがちな傾向をマイルドにしてきちんと現実のやりたいことやイロイロの課題に立ち向かえるという良い良好な関係を創れるからwin-winかなって思いました。

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4.能動的想像法においての紹介

能動的想像法においては、転移の在り様は次のように紹介されています。

[フォーダム(Fordham)は転移を強調し、能動的想像法をするには「成熟」が必要であるとし、しかもその成熟は、転移を経て治癒が生じ、一人で立ち向かう能力と想像する能力が高まった後で生じるもの]
→転移経験ののち、自分の中で行うべきと言うスタンス

[ユングは、転移それ自体能動的想像法を導くもの(中略)要求とか、期待、投影といったものは、この方法のなかでのみ解決される]
→転移経験は、他人にするより自己の中が有効と言うスタンス

[能動的想像法は「垂直」方向で無意識にかかわり、一方、転移、さらに広げて人間関係を扱うことは「水平」方向で無意識を引き受ける]
→他人に対して行うことは、他人の判断に依拠するので、広がりはあるが精神の深みへの有効度はちょっとさがる。自分の中で行うことで、自己消化できる。ってところかな?

[転移関係においては、元型は治療者と患者の双方に作用し、多くの場合分析作業は次第に相互的になり、二人とも変容を受けることになります。(中略)私はこのことを「相互プロセス(Mutual Process)と呼んでいます。]
→転移による双方への変容は相互プロセス。相互の変容。これを経て各自は自分の中の精神の深まりに至ることが最終目標になるみたいです。

 

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5.まとめ

転移体験は、必要な人格形成、精神性の深まりのために必要なこと。

転移自体は、目的を果たすための手段や単なる事象とあきらめず、相互プロセスという各自の精神性の深まりを最終目標にしてみると建設的で良いかも。って思いました。

あとは、こういう事象が起きがちなことを頭の隅に置いておけば、依存気味になったときに「もしや? 思念体に理想の姿を投影させて心の整頓をしているのかな?」と気づいて、不自然や異常な依存だとはっと気づければ落ち着いてみて、そうでなくそれが自然な感じならそのまま流されてみるのもいいかなーって思いました。

 

---上記[]箇所は引用。引用及び参考図書
心理療法序説』 著者:河合 隼雄 発行所:㈱岩波書店
『最新たのしく学べる教育心理学』桜井茂男編
『能動的想像法――内なる魂との対話』著者:J.M.シュピーゲルマン、河合 隼雄
訳者:町沢 静夫、森 文彦