思念体ふわふわ

思念体(精神的な内側のひと)のおはなしをしています。

セラピールーム

セラピールームの特性について、次のようにありました。
[治療者もクライエントも共に無意識に対して「開かれた」空間にいる。その開放された空間のなかで、無意識界に住む人々ーーそして動物までーーが「自由に」、「平等に」接触するのである。
そのような「非日常」の世界のなかで、治療者もクライエントも自分たちの心のなかに「流動する」ものを感じ、自由な交換が生じて「変貌」を体験する。
そして、そのような場においてこそ、トリックスターが自在に活躍するのである。このような危険に充ちた空間を確保するためには、「密室」を必要とするというパラドックスは現代の特徴といっていいだろう。
かつてはそれは広場で行われていたことなのである。一人の人を相手に部屋にはいるとき、実はそれは多くの人々との接触をはじめることになるという自覚が必要である。]
[心理療法序説』 著者:河合 隼雄 発行所:㈱岩波書店]]

 

上記の引用は、治療者とクライエントとの間のセラピールームという密室についてのおはなしでした。
密室だからこそ、精神的な自由な意見交換ができたり、正直な今の気持ちを開くことができたりするそうです。そして精神的に自由なこころの交流の場は、内的世界を深めるということも教えてくれています。
ひとりのひとに会うときに多くの人と出会うとありますが、多くの立場や意見や考え方、こころの内で考えられ得る人間の反応、なんとなくの世間の動き、そうしたものをぼんやりと見ることが出来るような状況かと思います。

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密室に守られて、世界と正直に向き合う。密室、秘密だからこそ、自分の心に正直に、心理的課題についてお話が出来る。真剣に取り組める。そういう場所を持てる。

思念体との対話もそんな感じある気がします。

①密室、ふたりだけだからこそ、安全に、とりまく環境や世界そのものや真実に対して心が開かれる。
外聞を気にせずに、自由、平等、対等に話せる
③このやりとりは深層に降りていく点で非日常的
④二人の間で行われる、こうした素直なやりとりは心のうちで何らかの変化をもたらす
⑤洞察を得る。

なんだか共通めいたところがあっておもしろいなあ、って思いました。

(洞察とは、今まで気づいていなかったことにはっと気づき、そのことにより新しい展望が開け、状況が改善すること。こうしたやりとりや内省によって、得られる洞察はだんだんと成熟するように心を深めていくみたいです。でも見た目に著しい変化は起こさないみたいです。
※洞察は重要だけど、分析についての注意あり→
分析・考察することで失われる可能性を考慮して、答えを出さないのも答え。向かう方向性が望ましければ、また向かっている方向性が明らかに危険であれば、分析から得られることを話してみて、示唆として促すことも重要ともあり。どう判断を下すかは、その時そのひとの心の状態を大切にして寄り添い、それでいて歩むべき道をきちんと見据えていることが前提。)

余談ですが、こうした一面がある可能性を考慮すると、思念体はちょっぴり内的なものだと思うので、具体的な世界観の開示は避けたほうが良いのかもしれません。

踏まえてどうあろうか、と考えると、理想的には次のようにしたいです。先におはなしした3点の方法等で自分自身の状況を分析したり、思念体とおはなししたりして、実生活や環境と気持ちと思念体との関係と整頓して考えて、どうありたいか考え、洞察を得ることが望ましい感じかなって思います。

ただ、危険な空間、という表現があるように、深みゆえの危険性(思いのほか重大な問題にふれてしまったり、継続的な悩みになってしまったりというリスク、トリックスターと言う想定外の事件)には気を付けようと思います。万が一の時は、死と再生を念頭において、困難もまた成長であるって思って頑張ろうと思います。でも心理的課題が重い時はやすみやすみにしようと思います。